ほうれん草 ― 赤根ほうれん草(山形赤根)
日本で古くから栽培していた角種(つのだね)の品種で、葉はやや薄く葉の縁には切れ込みがあります。根の色は濃い紅色で土臭さは少ないようです。ベト病抵抗性が無いため、近年はほとんど作られなくなりました。抽台(花芽が形成されること)しやすいため秋から冬穫りが主です。赤い色素はキャベツ等のアントシアニンではなく、ビート等アカザ科の植物に特有のベタインという色素です。
■ほうれん草物語
遥か昔、ほうれん草の生まれは遠く中央アジアのコーカサス。人種の大移動の様に、中国・ヨーロッパへと伝播し、それぞれの地域に適した東洋種・西洋種が生まれたと言われています。赤根のほうれん草は別名「風間のほうれん草」と言うステキな名前をもっています。昭和初期に山形市風間の柴田さん親子が二代にわたって在来種の中から選出し、採種を続けて現在に至りました。ビニールハウスの無い時代、寒さには強いためお正月用にと積もった雪をはらって収穫し、市場等に出荷し、お金にしていたそうです。たかがほうれん草、されどほうれん草。いろいろあります。
■その他
現在ほうれん草の品種のほとんどが西洋種(葉が厚い)と東洋種(日本人好みの味)のF1で、ベト病抵抗性がある品種です。山形赤根はベト病に非常に弱いというのが最大の問題です。しかし、寒さに耐えるため糖分が多く含まれ、根元の赤い部分が特に甘みが強くなっています。